矢沢隆夫です。

“聖性”の表現としての
金色の光。

「小椅子の聖母」では、
マリアと
ヨハネには、
「金色の光輪」
が描かれています。

これは、
聖なる者の象徴として
表現されています。

光輪は、
4世紀頃から
伝統的な超人的聖性の
表現法として
よく使われておりました。

ルネサンス期になって、
人間的なイエスを
善しとする
風潮がでてきたため、
光輪を
描かない表現法も
でてきました。

そのひとつが、
「小椅子の聖母」の
イエスの頭頂部と、後頭部に
放たれている金色光。

これは
ラフェロ独自の試み
でした。
(この絵をよーく観てないと
わかりませんよ!)

さて、
ラファエロと
マリアについて
大分長く
お話してきました。

ルネサンス期に、
絵の表現技法に
おいて、
レオナルド・ダ・ビンチと
ミケランジェロの
いいとこ取りを
したラファエロ。

幼少期の8年間に 
彼が受けた
優しい母親からの
愛情。
そしてその愛情から
育まれた
母親への限りない愛・あこがれ・・・

身につけた
表現技法でもって、
母への限りない愛情・あこがれ、
母性・・・
を、「マリア」として表現することで、

自分の思いを昇華させたのでしょう。

その集大成が
彼が31〜32歳に描いた
「小椅子の聖母」
なのです。

「小椅子の聖母」を
眺めていると、

いつも
私の頭の中では、

「パッフェルベル」
の「カノン」が

鳴り響いています。

「ラファエロとマリア」
のお話は、
今回で終了です。

ではまた・・・