矢沢隆夫です。

舞台は
秋の名月の京都。

東国から来た
僧が、
六条河原院
(ろくじょうのかわらいん)で
汐汲み(しおくみ)の
老人と出会います。

海でもない場所で
汐汲みとは・・・

と訝しく思う僧・・・

老人は、
言います・・・

かつて
この場所は、

源融
(みなもとのとおる)
が、贅を尽くし、
塩釜の浦を模した
広大な
庭園だった・・・

が、
今では、
水たまり程度に
なってしまったと・・・

と世の無常を
嘆き悲しみます。

やがて
日が暮れ、
二人が
仲秋の名月を
愛(め)でていると、
老人は
いつのまにか
姿を
消してしまいます・・・

その後、
近くに住む者から
河原院の由来を
聞いた僧は、

その老人が
源融(みなもとのとおる)
だったことに
思い当たります。

僧が
河原院で
眠りについていると・・・

融(とおる)の
亡霊が
現れ、
過去の栄華に
想いを
馳せながら、
月夜のもとで、
美しい舞を
舞います・・・

「光源氏(ひかるげんじ)」
のモデルとも
言われる
源融
(みなもとのとおる)・・・

が主人公の
情緒あふれる
とっても
幻想的な
能でした・・・