矢沢隆夫です。

2024年8月24日、
りゅーとぴあ能楽堂にて
能「阿漕(あこぎ)」が開催され、
観に行ってきました。

「あこぎ」とは・・・

非常に欲張りで、
やり方がずうずうしいこと

という意味で今でも
用いられますよね・・・

その意味するところの
由来になるお話が
今回の能「阿漕」です。

伊勢国(いせのくに)の
阿漕が浦(あこぎがうら)を
訪れた旅の僧が、
漁師の老人と出会います・・・

その老人とは・・・

かつて
伊勢神宮にお供えする魚を
捕るために、
殺生禁断となっている浦で、
禁を破って、漁をしておりました。

それが、露見され、
彼は、
沖に沈められました・・・

その老人の名は
阿漕(あこぎ)・・・

そしてその老人は、
阿漕の亡霊でした・・・

老人は、
今でも地獄で
苦しんでおり、
供養してほしい・・・
と、僧に頼み、
海に姿を消します・・・

夜中、
弔う僧の前に
阿漕の霊が
現れ、
かつての密漁の様子を
見せます・・・

さらに
阿漕は、
地獄の責め苦の恐ろしい様も
見せ、
苦しみ、
「助けてくれ」
と訴えながら
海に消えていきます・・・

伊勢神宮にお供えする
魚を捕るため、
禁漁を破ることで、
殺された漁師の亡霊が、

罪業により
死後も苦しむ・・・

それを
能の表現で
静かに、
しかしとっても恐ろしく
描いた作品です。

神様に使えるために
魚を捕って、
その結果、
人に殺される・・・

なんとも
やるせない、せつない
お話ですよね。

歴史的には、
「殺生禁断」は、
675年に、
天武天皇が唱えたもの・・・

殺生禁断を破ると
地獄へ行く・・・

どうなんでしょうか・・・?

こんな唱え方を
されれば、
勤勉な日本人は、
恐れ戦きますよね・・・